テレビで見るゴルフ中継。
スーパーショットに歓声が上がり、思わぬミスに選手が天を仰ぐ…つい見入ってしまいますよね。
でもその一方で、「今のプレーのどこがすごいの?」「なんで悔しがっているんだろう?」と感じたことはありませんか?
この記事では、そんなあなたの疑問をスッキリ解決するため、ゴルフの基本ルールをわかりやすく解説します。
プロのすごさやプレーの意図が理解できれば、ゴルフ観戦がもっと楽しくなるはずです!
まずはこれだけ!ゴルフの最も基本的な3つの大原則
細かいルールを一つひとつ覚える前に、まずはゴルフというスポーツの根幹にある「心構え」とも言える3つの大原則を知っておきましょう。
すべてのルールは、この原則から成り立っています。
原則1:コースをプレーし、1つのボールを打って、ホールに入れること
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、これがゴルフの最大の目的です。
各ホール、スタート地点(ティーイングエリア)からボールを打ち始め、最終的にグリーン上にあるカップにボールを入れることを目指します。
このカップインまでの打数が少なければ少ないほど「上手」ということになります。
とてもシンプルですよね。
原則2:ボールは「あるがまま」の状態でプレーすること
打ったボールが、たとえ打ちにくい木の根元や、ふかふかの深い草むら(ラフ)に止まってしまったとしても、原則としてそのボールを動かさずに、そのままの状態から次のショットを打たなければなりません。
これが「あるがまま」という大原則です。
ゴルフは自然を相手にするスポーツ。
思い通りにいかない状況をどう乗り越えるか、その判断力や技術が試される面白さがここにあります。
もちろん、どうしても打てない場合などの救済ルールもありますが、基本はこの「あるがまま」の精神を覚えておきましょう。
原則3:常に誠実に行動し、他のプレーヤーに配慮すること
ゴルフは審判がいない非常に珍しいスポーツです。
スコアの計算やルールの適用は、すべてプレーヤー自身が責任を持って行います。
「見られていないから、ボールを少し蹴って打ちやすい場所に…」なんていうのは絶対にNG。
常に正直に、誠実にプレーすることが求められます。
また、一緒にプレーする人たちが気持ちよく過ごせるように配慮することも大切です。
だからこそ、ゴルフは「紳士・淑女のスポーツ」と呼ばれているのです。
スコアの数え方をマスターしよう!「パー」や「ボギー」って何?
ゴルフ観戦の面白さを左右するのが、このスコアの数え方です。
一見すると「-1」や「+2」など、暗号のように見えるかもしれませんが、仕組みはとても簡単!
ここを理解するだけで、選手のプレーのすごさが一気にわかるようになります。
ゴルフの目的は「より少ない打数」でカップインすること
まず大前提として、ゴルフは「いかに少ない打数で全18ホールを回り終えるか」を競うスポーツです。
最終的な合計打数が最も少ない選手が優勝となります。
スコアの基準となる「パー(Par)」とは?
テレビ中継で最もよく耳にする「パー」という言葉。
これは「そのホールを、この打数で終えるのが基準ですよ」という規定打数のことです。
いわば、そのホールの「目標スコア」だと考えてください。
この「パー」の数は、ホールの距離によって決まっています。
ホールの種類:ショートホール、ミドルホール、ロングホール
- ショートホール(Par3): 距離が短いホール。基準打数は3打です。
- ミドルホール(Par4): 中くらいの距離のホール。基準打数は4打です。
- ロングホール(Par5): 距離がとても長いホール。基準打数は5打です。
例えば「Par4」のホールなら、4打でカップインすれば「パー」となります。
もし3打で入れば「すごい!」、5打かかってしまうと「ちょっと残念…」というわけです。
よく聞くスコアの呼び方一覧
基準となる「パー」に対して、実際の打数がいくつだったかによって、スコアにはそれぞれ特別な呼び方があります。
これを覚えれば、あなたも立派なゴルフ通です!
基準より少ない打数(アンダーパー) ← すごい!
- アルバトロス (-3): パーより3打少なくカップイン。奇跡的なスーパープレー!
- イーグル (-2): パーより2打少なくカップイン。プロでも滅多に出ない好プレー!
- バーディー (-1): パーより1打少なくカップイン。ナイスプレー!選手も喜びます。
基準通りの打数
- パー (±0): 基準打数通り。まずはこれを目指します。
基準より多い打数(オーバーパー) ← 残念…
- ボギー (+1): パーより1打多くかかってしまうこと。
- ダブルボギー (+2): パーより2打多くかかってしまうこと。大きなミスです。
- トリプルボギー (+3): パーより3打多くかかってしまうこと。
テレビで選手がガッツポーズをしていたら、それはきっと「バーディー」や「イーグル」を決めた時です。
逆に、難しい顔をしていたら「ボギー」や「ダブルボギー」を打ってしまったのかもしれません。
スコアの呼び方がわかると、選手の感情の動きまで理解できるようになりますよ。
【シーン別】プレーの流れで覚える基本ルール
ゴルフは全18ホールを順番にプレーしていきます。
それぞれの場所で特有のルールや注意点があるので、実際のプレーの流れに沿って見ていきましょう。
これを読めば、ゴルフコースを巡る冒険の準備は万端です!
①ティーイングエリア(Teeing Area):スタート地点のルール
各ホールの1打目を打つ、栄光のスタート地点です。
ティーアップ(ボールを小さな台座に乗せること)が唯一許されている特別な場所でもあります。
どこから打っても良いわけではない?ティーアップできる範囲
スタート地点には「ティーマーカー」と呼ばれる2つの目印が置かれています。
この2つのマーカーを結んだ線の内側、そしてそこからクラブ2本分の奥行きまでの四角いエリア内から打たなければなりません。
この範囲外から打ってしまうと、ペナルティが課せられます。
OB(オービー)とは?打ったボールがコース外に出てしまったら
「OB(アウトオブバウンズ)」は、プレーが許されていないコース外のエリアのことです。
白い杭で示されていることが多く、ここにボールが入ってしまうと1打罰となり、元の場所から打ち直しとなります。
例えば、ティーショットがOBになった場合、「1打罰」を加えて、3打目としてもう一度ティーイングエリアから打つことになります。
これは非常に大きなペナルティなので、選手たちは必死にOBを避けようとします。
素振りでボールに当たってしまったらどうなる?
初心者にありがちなミスですが、練習の素振りのつもりでクラブを振ったら、うっかりボールに当たってしまった…。
この場合、残念ながら1打とカウントされます。
ボールを打つ「意思」があったかどうかが重要で、空振りは打数にカウントされませんが、ボールに当たってしまえばそれは立派な1打です。
②スルーザグリーン:ティーとグリーン以外の広大なエリア
ティーイングエリアとグリーンを除いた、コース内のほとんどの場所を指します。
ここでのプレーがスコアを大きく左右します。
フェアウェイとラフの違い
コース内には芝生が短く刈り揃えられていてボールが打ちやすい「フェアウェイ(天国)」と、芝生が長く伸びていてボールが打ちにくい「ラフ(地獄)」があります。
選手が打った後に「フェアウェイキープ!」と喜ぶのは、次の一打がとても打ちやすい場所から打てるからです。
「あるがまま」が原則!ボールに触れてはいけない
ここでも大原則「あるがまま」が生きてきます。
ボールの周りの木の葉をどかしたり、草をむしったりして、打ちやすいように環境を変えることは基本的に許されません。
救済を受けられるケースとは?(カート道、排水溝など)
ただし、例外もあります。
例えば、ボールがカート道や排水溝、スプリンクラーといった「動かせない障害物」の上や近くに止まってしまった場合。
この場合はペナルティなしで、ボールを近くの打ちやすい場所に動かして(ドロップして)プレーを再開できます。
これは不公平をなくすための救済措置です。
③バンカー(Bunker):砂地のエリアの特別ルール
コース内に設けられた砂地のくぼ地、それがバンカーです。
ここには特別なルールが存在し、多くのゴルファーを悩ませます。
打つ前にクラブを砂につけてはダメ!
バンカー内では、ボールを打つショットの時以外、クラブの底(ソール)を砂に触れさせてはいけません。
練習の素振りでも砂に触れたらペナルティです。
非常に厳しいルールですが、砂の状態をテストする行為を防ぐためです。
バンカーから出せない!アンプレヤブルという選択肢
どうしてもバンカーから出せそうにない、アゴの高いバンカーに突き刺さってしまった…。
そんな絶望的な状況では「アンプレヤブル(プレー不可能)」を宣言することができます。
これは1打罰を払うことで、バンカー内の別の場所や、バンカーの外からプレーを再開できるという選択肢です。
プロの試合でも、難しい判断を迫られる場面で見られます。
④グリーン(Green):カップ周りの最終決戦地
芝生が非常に短く、綺麗に整備されたカップ周りのエリア。
ここでパターと呼ばれる特別なクラブを使って、ボールを転がしてカップインを目指します。
パターで優しく転がそう
グリーン上では、ボールを高く上げるショット(アプローチショットなど)は禁止です。
必ずパターを使ってボールを転がしましょう。
グリーンは非常にデリケートな場所なので、傷つけないように配慮が必要です。
他の人のラインを踏まないのがマナー
ボールがカップまで転がっていく軌道のことを「ライン」と呼びます。
他のプレーヤーのラインを踏んでしまうと、芝の状態が微妙に変わってボールの転がりに影響を与えてしまう可能性があります。
グリーン上では、他の人のラインを踏まないように歩くのが鉄則のマナーです。
カップの目印「ピン(旗竿)」はどうする?
グリーン上からパットをする際は、カップに刺さっているピンを抜くのが一般的です。
ただし、2019年のルール改正により、ピンを刺したままパットをしても無罰になりました。
テレビ中継では、距離が長いパットの時はピンを刺したまま、短いパットでは抜いていることが多いので注目してみてください。
テレビでよく見る「あれって何?」違反とペナルティを解説
ゴルフ観戦をしていると「なんで今のプレーで1打罰なの?」と疑問に思うシーンがよくあります。
ここでは、テレビ中継でもよく見かける代表的なペナルティ(罰打)について解説します。
これを知れば、プロの冷静な判断や、ミスの後のリカバリーショットのすごさがより深く理解できます。
なぜペナルティ(罰打)があるのか?
ペナルティは、ルール違反をしたプレーヤーに公平性を保つために科せられる罰則です。
ズルをしたり、ルールを知らなかったりすることで有利になることがないように、明確なルールが定められています。
ミスをしても、正しい処置をすればプレーを続けることができます。
よくあるペナルティの具体例
ボールが池にポチャン…(ペナルティエリア)
コース内にある池や小川、溝などは「ペナルティエリア」と呼ばれ、赤い杭や線(赤線)、または黄色い杭や線(黄線)で示されています。
ここにボールが入ってしまった場合、1打罰を加えて、いくつかの選択肢の中から救済措置を選んでプレーを再開します。
一般的には「ボールが最後に境界線を横切った地点の近くから打つ」ことが多いです。
池越えのショットは、成功すれば大きなチャンスになりますが、失敗すると大きな代償を払うことになる、見どころの一つです。
ボールが見つからない!(紛失球)
打ったボールが林の奥深くなどに入ってしまい、3分以内に見つけられなかった場合、そのボールは「紛失球(ロストボール)」となります。
この場合、ペナルティはOBと同じで、1打罰を加えて、元の場所から打ち直しとなります。
時間と打数の両方をロスしてしまう、非常に痛いミスです。
人のボールを間違えて打ってしまった(誤球)
自分のボールだと思い込んで、同伴者のボールを間違えて打ってしまうことを「誤球」と言います。
これは2打罰という重いペナルティが科せられます。
打ってしまった打数はカウントせず、自分のボールを見つけてそこからプレーを再開します。
アドバイスを求めたり、与えたりする行為
ゴルフは個人競技です。
プレー中に他のプレーヤーに「どのクラブで打てばいい?」と聞いたり、「その方向は危ないよ」と教えたりするアドバイス行為は禁止されており、ペナルティの対象となります。
(ただし、自分のキャディーとの相談は認められています)。
ルールだけじゃない!プレーを円滑に進めるためのゴルフマナー
ゴルフが「紳士のスポーツ」と呼ばれる由縁は、ルールブックに書かれていること以上に、プレーヤー同士の心遣いやマナーが重視される点にあります。
ここでは、同伴者と一日を気持ちよく過ごすための、特に大切なマナーをご紹介します。
プレーファストを心がける
ゴルフは自分たちだけでなく、後ろの組もプレーしています。
一人のプレーが遅れると、コース全体に迷惑がかかってしまいます。
常に迅速なプレー「プレーファスト」を心がけるのが最も重要なマナーです。
素振りは2回まで
何度も素振りをすると、それだけで時間がかかってしまいます。
素振りは1〜2回に留め、スムーズにショットに移りましょう。
次に使うクラブを準備しておく
自分の打順が来る前に、ボールの場所まで行き、使うクラブを2〜3本持っていくとスムーズです。
安全への配慮
ゴルフで使うクラブやボールは、当たり所によっては非常に危険な凶器にもなります。
常に周りの安全を確認することが絶対条件です。
人が前にいるときには打たない
前の組のプレーヤーや、自分の組の同伴者が、ボールの飛ぶ可能性のある範囲にいる場合は、絶対に打ってはいけません。
隣のコースにボールが飛んだら「フォアー!」と叫ぶ
もし打ったボールが隣のコースなど、人に当たる危険性のある場所に飛んでいってしまったら、ためらわずに「フォアー!」と大声で叫びましょう。
これは「ボールがそっちに飛んで行ったぞ、危ない!」という警告の合図です。
コースを大切にする
美しいゴルフコースは、たくさんの人の手によって維持されています。
プレーヤー一人ひとりがコースを労る気持ちを持つことが大切です。
バンカーの足跡をならす
バンカーショットを打った後は、必ず備え付けのレーキ(熊手のような道具)を使って、自分の足跡やボールの跡を綺麗にならしてから出ましょう。
グリーン上のボールマークを直す
ボールがグリーンに落下すると、その衝撃でへこみ(ボールマーク)ができます。
これを放置すると芝が枯れてしまう原因になるため、「グリーンフォーク」という器具を使って修復するのがマナーです。
服装(ドレスコード)もマナーのうち
多くのゴルフ場では、服装に関する規定(ドレスコード)が設けられています。
襟付きのシャツを着用し、Tシャツやジーンズ、サンダルなどは避けるのが一般的です。
訪れるゴルフ場のウェブサイトなどで事前に確認しておきましょう。
まとめ|ルールを覚えてゴルフを100倍楽しもう!
ここまで、ゴルフの基本的なルールからスコアの数え方、そして大切なマナーまで、一気にご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか?
一見すると複雑に思えたルールも、「ボールを打ってカップに入れる」「あるがまま」「誠実に」という3つの大原則に基づいていることがお分かりいただけたかと思います。
今回ご紹介した知識があれば、明日からのゴルフ観戦でプロのスーパープレーにこれまで以上に興奮し、思わぬミスに一緒に悔しがることができるはずです。
選手の一打一打に隠された意図や、ルールの攻防が見えてくると、ゴルフはスポーツ観戦として何倍も面白くなります。
そして、もし「ちょっとやってみたいな」という気持ちが芽生えたなら、まずはゴルフクラブを握ってボールを打てる「練習場(打ちっぱなし)」に行ってみるのがおすすめです。
青空の下、ボールが気持ちよく飛んでいく爽快感は格別ですよ!
ルールとマナーを守って、ぜひあなたも楽しいゴルフライフをスタートさせてみてください。