夏目漱石「こころ」のあらすじを簡単に解説!伝えたかったことや印象的な場面も紹介

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夏目漱石の名作「こころ」。高校の授業で触れたけれど、詳しいあらすじはうろ覚え…という方も多いのではないでしょうか。

「こころのあらすじを簡単に知りたい」

「先生はなぜ死んだの?」

「夏目漱石が作品を通して言いたかったこと、何を伝えたかったのか気になる」

そんなあなたへ。この記事では、複雑で奥深い「こころ」の世界を、主要な登場人物や各章のポイントを押さえながら、わかりやすく解説します。

記事のポイント

  • 夏目漱石「こころ」の全体的なあらすじと三部構成の概要
  • 主要登場人物「先生」と「私」、そして「K」の関係性
  • 物語の核心となる「先生」や「K」がなぜ死を選んだのか、その理由
  • 夏目漱石がこの作品を通して伝えたかったこと

夏目漱石「こころ」あらすじを簡単に解説

  • 「こころ」全体のあらすじ
  • 主な登場人物:「先生」と「私」
  • 上「先生と私」のあらすじ
  • 中「両親と私」のあらすじ
  • 下「先生と遺書」のあらすじ

「こころ」全体のあらすじ

夏目漱石の「こころ」は、大学生である「私」が鎌倉で出会った謎めいた「先生」との交流を通じて、人間の心の奥深くを描いた物語です。

「私」は先生に心惹かれ、親交を深めていきます。

しかし、先生は「恋は罪悪だ」といった不可解な言葉を残し、自身の過去を語ろうとしません。

やがて、先生から分厚い手紙が届き、そこには親友「K」を裏切ってしまった過去と、Kの自殺、そして自らも死を選ぶという衝撃的な内容が綴られていました。

物語は「上 先生と私」「中 両親と私」「下 先生と遺書」の三部構成で展開されます。

特に「下 先生と遺書」では、先生の苦悩に満ちた過去が詳細に明かされます。

主な登場人物:「先生」と「私」

この物語の主要な登場人物は、語り手である「私」と、彼が敬愛する「先生」です。

「私」は純粋で真面目な学生で、先生の知性や謎めいた雰囲気に強く惹かれます。

一方、「先生」は職を持たず、妻と静かに暮らしている知識人です。過去のある出来事から人間不信に陥り、深い孤独と罪悪感を抱えています。

先生の妻である「お嬢さん(静)」は、美しく穏やかな女性ですが、先生の心の闇には気づいていません。

そして、先生の過去に大きな影響を与えた人物として、親友であった「K」が登場します。

Kは真面目で求道的、しかし純粋すぎる性格の持ち主です。

上「先生と私」のあらすじ

「上 先生と私」の章では、まず「私」と「先生」の出会いが描かれます。

鎌倉の海水浴場で偶然出会った二人は、その後東京で交流を深めていくことになります。

「私」は先生の家を度々訪れますが、先生は心を開かず、時折「恋は罪悪だ」など意味深な言葉を発します。

先生の妻である奥さんと話す中で、先生が昔は違った人物であったことを知り、「私」の謎は一層深まります。

そして、「私」の真摯な態度に心を動かされた先生は、いつか自分の過去を全て話すと約束するのでした。

この章の時点で、先生が既に故人であることが示唆されている点も特徴と言えるでしょう。

中「両親と私」のあらすじ

「中 両親と私」では、大学を卒業した「私」が、卒業報告のため実家へ帰省する場面から始まります。

帰省中、明治天皇崩御の報があり、予定していた卒業祝いの会は中止となります。

さらに、東京へ戻ろうとした矢先、父親が病に倒れ危篤状態に陥り、「私」は実家を離れられなくなってしまいます。

そのような状況の中、先生から「会いたい」という電報が届きますが、父親の容態を理由に断らざるを得ませんでした。

その後、先生から分厚い手紙が届きます。

手紙の冒頭には「この手紙があなたの手に落ちるころには、私はもうこの世にはいないでしょう」と記されており、「私」は衝撃を受け、汽車に飛び乗り東京へ向かいます。

下「先生と遺書」のあらすじ

「下 先生と遺書」は、先生から「私」へ宛てられた手紙そのものが内容となっています。

この手紙の中で、先生の壮絶な過去が告白されます。若い頃に両親を亡くし、信頼していた叔父に財産を騙し取られた経験から人間不信になったこと。

その後、下宿先の娘である「お嬢さん」と出会い、心を寄せるようになったこと。

そして、同郷の親友であり、精神的に追い詰められていたKを下宿に招き入れたこと。

しかし、Kもお嬢さんに恋をしてしまい、先生はKを出し抜く形でお嬢さんとの結婚を決めてしまいます。

その結果、Kは自殺。先生は深い罪悪感と後悔を抱え続けることになったのです。

「こころ」あらすじから簡単に読み解くポイント

  • 「先生」はなぜ死んだのか?その理由
  • Kが自殺した理由とは
  • 夏目漱石が「こころ」で言いたかったこと
  • 作品から何を伝えたかったのかを考察
  • 読者の感想と作品の魅力

「先生」はなぜ死んだのか?その理由

先生が自ら死を選んだ理由は、一つに断定できるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

最も大きな理由は、親友Kを裏切り、結果的に死に至らしめたことに対する拭いきれない罪悪感でしょう。

先生はKの死後、「死んだ気で生きて行こうと決心した」と述べている通り、常に罪の意識に苛まれていました。

また、自身を騙した叔父と同じような行為をしてしまったことへの自己嫌悪も深かったと考えられます。

さらに、明治天皇の崩御と乃木大将の殉死という出来事が、先生にとって一つの時代の終わりを象徴し、自らの死を決意する引き金になったとも解釈できます。

Kが自殺した理由とは

Kが自殺した理由もまた、先生の死と同様に単純ではありません。

主な理由としては、自身が理想としていた求道的な生き方と、お嬢さんへの恋という人間的な感情との間で激しく葛藤し、その矛盾に耐えられなくなったことが挙げられます。

Kは「道のためにはすべてを犠牲にすべき」という信念を持っていましたが、お嬢さんへの恋はその信念を揺るがすものでした。

加えて、信頼していた先生に裏切られたことによる絶望感や、先生がお嬢さんに恋心を抱いていたことに気づけなかった自身への失望も、Kを死に追いやった要因と考えられます。

遺書には「もっと早く死ぬべきだのになぜ今まで生きていたのだろう」と記されており、深い苦悩が伺えます。

夏目漱石が「こころ」で言いたかったこと

夏目漱石が「こころ」という作品を通して伝えたかったことは、人間の心に潜む「エゴイズム」と、それによって引き起こされる「孤独」や「罪悪感」であると言えるでしょう。

先生は、お嬢さんを得たいという自身の欲望(エゴイズム)のためにKを裏切り、その結果、生涯癒えることのない孤独と罪の意識を背負うことになります。

また、明治から大正へと移り変わる時代背景の中で、古い価値観と新しい価値観の間で揺れ動く人々の姿も描かれています。

近代化が進む中で個人主義が台頭し、人間関係が希薄になっていくことへの警鐘や、真に他者を理解することの難しさもテーマの一つと考えられます。

作品から何を伝えたかったのかを考察

「こころ」という作品から何を伝えたかったのかを考察すると、人間の内面の複雑さ、そして他者と真に関わることの重みが浮かび上がってきます。

先生の行動は、一見すると身勝手に見えるかもしれませんが、その背景には人間誰しもが持ちうる弱さや葛藤が存在します。

また、友情、恋愛、裏切り、信頼、後悔といった普遍的なテーマを通じて、読者自身の心と向き合うきっかけを与えてくれます。

漱石は、目に見えない「こころ」の動きを丹念に描くことで、人間存在の深淵を覗かせようとしたのかもしれません。

変化する社会の中で、個人としてどう生きるべきか、という問いも投げかけているように感じられます。

読者の感想と作品の魅力

「こころ」を読んだ多くの読者は、まずその文章の美しさと、純文学でありながらも引き込まれるストーリー展開に魅力を感じるようです。

特に高校の教科書で一部を読んだ経験がある人が、改めて全体を読むことで新たな発見や感動を覚えるという感想も少なくありません。

作中で描かれる登場人物たちのエゴイズムや罪悪感は、程度の差こそあれ、誰しもが抱いたことのある感情であり、共感を呼びやすい点も魅力の一つです。

一方で、先生やKの行動原理が理解しにくい、読後感が重いといった感想を持つ人もいます。

しかし、そうした複雑さこそが、この作品が長く読み継がれる理由であり、読者に深い思索を促す力を持っていると言えるでしょう。

「こころ」のあらすじを簡単に総括|物語の核心

  • 大学生の「私」は鎌倉で「先生」と出会い、交流を深める
  • 先生は「恋は罪悪だ」など謎めいた言葉を口にする
  • 物語は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部で構成される
  • 「先生と私」では、先生が過去を話す約束をするまでが描かれる
  • 「両親と私」では、「私」の父が危篤になり、先生から手紙が届く
  • 手紙には先生が死を選ぶことが示唆されている
  • 「先生と遺書」は、先生の過去と苦悩を綴った手紙の内容である
  • 先生は叔父に財産を騙し取られた経験を持つ
  • 先生は親友Kが想いを寄せるお嬢さんと結婚してしまう
  • Kは先生とお嬢さんの結婚を知った後、自殺を遂げる
  • 先生はKを裏切った罪悪感から、自らも死を選ぶ決意をする
  • 明治天皇の崩御と乃木大将の殉死が、先生の死のきっかけとなる
  • 作品は人間のエゴイズム、孤独、罪悪感を深く描いている
  • 近代化の中で揺れ動く個人の内面も重要なテーマである
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